図書館で「かわいい表紙だな」と手に取ったこの一冊。でも、読み終わった今、「かわいい」だけでは到底語れない深さを感じています。
「表紙買い」は本好きのあるあるですよね。表紙買いが成功した時の嬉しさは、本を好きになる理由の一つです。
大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人
竹村優希 (著)
あらすじ
幽霊が見えることを隠して生きてきた主人公・爽良(そら)。家族からも理解されず、日々生きづらさを感じ人から距離を取って生きていました。
ある日、亡き祖父から幽霊アパート「鳳銘館」の管理人を任され、スパダリ幼馴染や癖のあるアパートの住人、幽霊たちとの関わりを通じて、怯える日々から前向きに変わっていく成長ストーリーです。
主人公の成長:幽霊と向き合い始めた少女の変化
消極的で陰気な性格に見える爽良ですが、それも仕方がないのかなと思います。
霊が見える恐怖と孤独に耐え続けた結果、人と関わる余裕が持てなかったのかな。
アパートの管理人になる前は、耐えて忘れることで自分を保ってきたけど、管理者になってから霊が見えるのは自分だけじゃないことに気づき、あんなに怖い存在だった霊を助けて成仏させてあげたいと思うように。
また、同じ体質で、霊の癒しとなっていた祖父の様になりたいという目標も持つことができました。
怖い事には変わらない霊に立ち向かって、危険な目に合い傷つきながらも、周りとの関わり方を覚え自分の意志で行動をするようになっていく。霊が「見るだけ」だった彼女が、霊を「助ける存在」へと変わっていく姿に応援しながら読んでいました。
巻を追うごとに逞しくなっていく爽良の姿が印象的です。
続きが気になり過ぎて、シリーズ一気読みしました。
ホラー要素:かわいい表紙の裏に潜む恐怖
作中に登場する幽霊の描写がリアルすぎて、その場面が頭に浮かんでしまいます。真夜中に読んでいたので、背後を気にしながらの読書になりました…。怖いけれど、物語の引力がそれを上回るんです。
個人的ではありますが、怖さはゴーストハンターよりかはまし、心霊探偵八雲と互角かちょっと怖いくらいです。
恋愛要素:気付かない主人公と一途な幼馴染の関係
怖さだけではなく、じれったい恋愛要素も本作の見どころの一つです。
礼央の献身的な姿に、読んでいるこちらが「報われてほしい!」と願ってしまいます。主人公が気付くまでのじれったさもまた、この物語の楽しみの一つです。
最後に
かわいい表紙からは想像できない、成長とホラー、恋愛が詰まった物語。
怖いだけじゃなく、温かくて、時に胸が締め付けられるような話満載です。ちょっとした時間でサクッと読めるので、ホラー好きはもちろん、成長物語やじれったい恋愛が好きな方にもぜひおすすめです。ぜひ手に取ってみてください!
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